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特集

2022年プロジェクト報告

有志とNPO法人judo3.0は2022年に世界自閉症啓発デーに関するプロジェクトを始めました。

1.活動の概要

世界自閉症啓発デーとは?

2007年12月18日、国連総会において毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが決議され、さらに、日本では毎年4月2日から8日までを「発達障害啓発週間」と定められました。

障害とは、その人にあるのではなく、「社会」にあると言われています。例えば、眼鏡がない社会で視力が低下したら困難に直面しますが、眼鏡があったらそれほど支障はありません。眼鏡がないという社会が障害を生み出したと言えます。同様に、自閉症をはじめとする発達障害について、多くの人々の理解と配慮があったら、発達に凸凹のある子供たちが抱える困難は少なくなります。

「世界自閉症啓発デー」は、この日を祝ったり、啓発活動を行うことを通じて、より多くの人々に自閉症をはじめとする発達障害についての理解を広げ、社会から障害をなくすために定められたものと理解しています。

2.これからの柔道コミュニティ

それでは、発達に凸凹のある子供たちは、いま、各地の柔道クラブや柔道部で笑顔で過ごしているでしょうか。彼ら彼女らにとって、かけがえのない居場所になっているでしょうか。

柔道コミュニティで発達障害への理解と配慮がもっと広がったら、より多くの発達に凸凹のある子供たちが柔道を親しむことができる。私たちは、そのように考えて世界自閉症啓発デーに関するプロジェクトを立ち上げました。

近年の運動と子供の発達に関する研究は、発達に凸凹のある子供たちが運動を必要としていることを明らかにしています。私たちは、一人一人の子供たちに、発達に必要な運動とコミュニティが保障されている生育環境をつくるため、本プロジェクトを通じて、国内に7000以上のクラブを有する柔道コミュニティのインクルーシブ化を目指しています。

本プロジェクトは、①受身あそび教室、②オンライン講座、③道場からブルーを発信、の三つの取り組みから成り立っています。

①受身あそび教室

転んでケガをする子供が増えています。多動で衝動的であったり、不器用であったりすると、ケガをしやすくなります。柔道の受身はケガの予防に役立つ技術です。小さいときにこの技術を身につけておくと、大人になってからも役立ちます。そこで、各地の有志の柔道クラブにて、柔道をやったことがない子供が遊びながら受身などを学ぶことができる「受身あそび教室」を開催します。

受身あそび教室の特長
  1. 「受身」:柔道の受身の技術を学ぶことで、転んでもケガをしない身体づくりをすることができます。
  2. 「広く柔らかい遊び場」:ゴロゴロ転がったり、相撲をしてみたりなど、広い畳の上では普段できない遊びや動きがたくさんできます。また、例えば、鬼ごっこをしていて、勢い余って転んだとしても畳の上であれば心配いりません。
  3. 「礼儀礼節と優しい心」:柔道は礼を大切にし、相手を思いやる気持ちを持つことを指導します。このような柔道や武道が大切にしている精神を学ぶすることができます。
  4. 「安全」:柔道の技で投げられる、ということはありません。指導経験が豊富な先生とともに、畳の上で楽しむことができるあそび(柔道あそび)をしながら、安全な転び方を学ぶプログラムです。

柔道場でどんな遊びができるかについては、書籍「子どもの身体の動きが劇的に変わる コーディネーションゲーム60」(久保田 浩史他・ベースボール・マガジン社)をご参照ください。

実施道場
柔道クラブの指導者の皆さまへ

「受身あそび教室」は、地域の凸凹の子供たちと地域の柔道クラブの架け橋となる取り組みです。それぞれの地域に「スポーツをしたい」「友達と身体を動かして楽しい時間を過ごしたい」「子供に運動をさせたい」と思っている凸凹の子供や保護者がいらっしゃいます。しかし、「うちの子供が周りに迷惑かけるかもしれないから」と遠慮していたり、そもそも同じ地域に柔道クラブがあることを知らなかったり、興味はあるけれども柔道クラブに入会するのはハードルが高いと思っていたりなど、様々な要因によって、地域の凸凹の子供たちが柔道クラブ(及び他のスポーツクラブにも)にアクセスできない現状が見受けられます。そこで、発達に凸凹のある子供が気軽に参加ができて、柔道のエッセンスを体験できる「受身あそび教室」を企画しました。

また、この取り組みを行うことで、地域の柔道クラブが、凸凹の子供やご家族だけでなく、小中学校の通級や特別支援学級・特別支援学校の先生、児童発達支援や放課後等デイサービスの施設の職員、保育園の保育士、市区町村の障害福祉課や社会福祉協議会の担当者など、凸凹の子供たちに関わっている福祉関係機関とのネットワークが生まれます。上記の福祉関係機関は連携して地域ぐるみで凸凹の子供たちを支援しようとしていますが、子供の発達に必要な運動を提供できる機関は少なく、スポーツ指導者を必要としています。柔道クラブがこれまで以上に地域から必要とされる存在となることを目指しています。

放課後等デイサービスの運営者へ

「子供たちをめいいっぱい遊ばせてあげたい」「しっかり身体を動かして心身共に成長してほしい」と思っても、施設内では学習をするスペースはあっても、運動をするスペースが足りなかったり、運動指導できるスタッフがいない、ということがよくあると思います。そんなとき、土日のお出かけイベントとして柔道場はいかがでしょうか。ヨガの先生をお招きしてヨガ教室をするように、近隣の柔道の先生に依頼して、柔道場で楽しく身体を動かすお出かけイベントです。

柔道場は柔らかい畳であるため転んでもケガをする心配がありません。さらに、屋外の運動場や公園で運動する場合、子供が外に飛び出すことがないよう常に注意する必要がありますが、柔道場は屋内の施設のため、屋外の施設と比較して安全管理が容易となります。このプロジェクトは福祉のコミュニティと地域の柔道のコミュニティの架け橋をつくることを目的の一つとしていますので、まずはお近くの受身あそび教室に遊びに来ていただけたら幸いです。

②オンライン講座

発達障害と柔道についての理解を深めるオンライン講座を開催します。各地に専門的な知見を持った方、そして、指導に悩み、子供たちと共に成長してきた指導者がいらっしゃいます。ビデオ会議zoomやyoutube配信などのオンライン講座ですので、どこにいても学ぶことができます。

③道場からブルーを発信

世界自閉症啓発デーのシンボルカラーはブルーで、世界的にSNS上ではブルーをテーマにした写真や動画が投稿されます。そこで、柔道クラブからもブルーを発信するようご案内し、投稿された写真等についてはSNSでシェアをしたり、ギャラリーを作ったりします。

2.報告

受身あそび教室を7地域で実施、平均4.3名の柔道の未経験者が参加

プロジェクト報告ライブ配信

柔道体験会

(WEB記事)柔道人口が増えて、柔道の文化が変わる具体的な方法を発見か!?受身あそび教室のインパクト

(動画)柔道人口増につながるか。受身あそび教室のポイント解説

道場からブルー発信ギャラリー

道場からブルー発信ギャラリー2022

3.メディア掲載

新聞

旭町柔道少年団の柔道体験会が2022年4月2日付の釧路新聞に掲載

その他

東京都自閉症協会などが運営する世界自閉症啓発デーオンラインイベントに出演