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釧路柔道連盟が発達障害への取り組みを始める!

釧路柔道連盟は、2023年4月2日、世界自閉症啓発デーに関して「釧路柔道フェスティバル」を開催して合計112名の方々が参加、本取組みは新聞やラジオでも取り上げられました。本イベントの企画者である佐藤康弘先生にお話を伺いました。

司会:釧路柔道連盟について教えてください。

佐藤:釧路柔道連盟は、1949年に東北海道柔道同好会として約300人の会員で始まり、1953年に釧路や根室管内の柔道愛好家も参加し、釧路柔道連盟として再出発しました。当時は、会員数が700名以上いたと言われています。しかし、近年柔道愛好家が減少し続けており、2022年の全柔連登録者は362名で、5年前と比べて189名、約33%も減りました。

 特に、高校の柔道の先生の定年退職や異動によって高校の柔道部が減少し、「高校で柔道をしたい」という中学生が札幌などの高校に進学、釧路から出ていってしまうことに頭を悩ませています。

司会:なぜ、柔道連盟として、発達に凸凹のある子供の柔道に着目したのでしょうか?

佐藤:柔道人口の減少は以前から話題になっていましたが、釧路柔道連盟として具体的な取り組みを行う必要があると考えており、新学期が始まる前に普及活動を行おうと思いました。

 昨年2022年4月、釧路旭町柔道少年団が世界自閉症啓発デーで柔道体験イベントを開催し、発達に凸凹のある子供への柔道について発信し、その重要性を指摘されています。釧路柔道連盟としても、発達に凸凹のある子供への柔道に取り組むことは、柔道の普及につながるとともに、柔道が単なるスポーツ団体にとどまらず、社会に貢献する団体であることを地域に発信することができると考え、4月2日の世界自閉症啓発デーに「釧路柔道フェスティバル」を開催することにしました。

司会:イベントの準備はどのように行いましたか?

佐藤:連盟のメンバー5名でプロジェクトを始めました。まず、釧路市と釧路町に後援を申請しました。昨年の釧路旭町柔道スポーツ少年団が取り組んだ実績もあったので、釧路市と釧路町の後援をいただくことができ、市役所と町役場を通じて、市町内の幼稚園や保育園、小学校や中学校の普通学級、特別支援学級などにイベントのチラシを配布していただきました。チラシは1000部印刷しており、上記の保育園や学校のほか、公共施設にも配布しました。

 次に新聞社やテレビ局などにイベントを案内して、取材の依頼をしました。その結果、地元のラジオ「FMくしろ」で取り上げていただいたり、新聞に2度掲載いただきました。

 さらに、世界自閉症啓発デーでは各地の自閉症協会の皆様が啓発イベントを行っていますが、北海道自閉症協会の釧路分会さまに連絡をして、本イベントに協賛いただきました。また、釧路分会主催の啓発イベントに釧路旭町柔道少年団のメンバーが参加してチラシの配布をしたりもしました。

司会:指導者向けの発達障害に関する講習会について教えてください。

佐藤:3月19日(日)には、judo3.0代表理事の酒井重義氏をゲストに招き、発達障害と柔道指導に関する講習会を開催し、連盟に所属する指導者25名が発達障害と柔道について学びました。

大半の参加者から「発達障害についてのイメージが変わった。柔道が発達障害に対して有効であることを実感した」という感想が寄せられ、「子供への指導について応用行動分析の考え方を活かそう」などの感想も多く寄せられた。参加した指導者の半数以上はすでに自身のクラブで発達に凸凹のある子供を指導した経験があり、指導に悩んだ経験がありました。したがって、今回、発達障害と柔道について学ぶことができたことはよかったと思います。

司会:当日はどのようなプログラムが実施されましたか?

佐藤:会場には世界自閉症啓発デーの大型ポスターを掲示して、自閉症啓発コーナーを設置しました。はじめに全体で楽しく準備体操を行い、次に、小学生、中学生、高校生がそれぞれ柔道の投げ技を実演した後、3つのグループに分かれて柔道遊びを行いました。最後に、柔道整復師会の協力をいただき、足首の捻挫を想定したテーピング講習を行いました。

 イベントには、はじめて参加する方39名(うち子供15名)と釧路の少年柔道クラブのメンバー73名、合計112名が参加しました。私自身も子供達を指導をしながら、保護者の方々とお話することができ、有意義な会となりました。

司会:振り返ってみて、今回の取り組みの成果はいかがですか。

佐藤:今回の釧路柔道フェスティバルは誰でも参加することができるイベントですが、主な対象は発達に凸凹のある子供やそのご家族であり、その目的は、広く地域の人々に対して、柔道が発達に凸凹の子供の発達に良いことを発信して、柔道の魅力や「柔道療育」を伝えることでした。

 世界自閉症啓発デーの啓発イベントとして企画して、チラシには「子供から大人までどなたでもご参加頂けます。発達が気になるお子さんも一緒に遊びましょう」「柔道は、発達期にある多くの子ども達の姿勢保持、コミュニケーション、情緒安定等に有効です。遊びながら柔道と柔道療育の可能性を体験して下さい」と記載しています。

 その結果、39名の方々に参加していただき、柔道を体験していただきました。事前の問い合わせやアンケートなどを見ると、「一緒に遊びましょう」という呼びかけにヒットした方々が多いように見受けられます。

 さらに、このイベントを通じて、3月20日午後1時にラジオ「FMくしろ」でゲスト出演をして柔道の魅力を話したり、北海道新聞や釧路新聞に「柔道 発達障害児の療育に」「柔道を発達障害の療育に」という見出しで、柔道が発達凸凹の子供の発達に良い効果があること、釧路の柔道クラブが発達に凸凹のある子供の柔道に取り組んでいることが掲載されました。

 

現時点では、1名のイベント参加者が柔道を始めましたが、そのほかの参加者も夢中になって体を動かしていたので、柔道が楽しいということは感じてもらえたと思います。総じて、この取り組みを通じて、発達に凸凹のある子供やご家族、幼稚園や保育園、小学校や中学校、そして、地域の人々に対して、柔道の魅力や柔道療育の可能性を広めることができたと考えています。

佐藤康弘先生インタビュー

2023年世界自閉症啓発デーjudo3.0記念ライブ配信より抜粋
  • 1.なぜ柔道指導者が発達障害に関心を持ったのか?
  • 2.柔道体験会を実施した感想
  • 3発達障害に関する指導者講習を実施した感想

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