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北海道の尚志館當摩道場の「LET’S GO TATAMI PARK 道場でインクルーシブ遊び」を開催

北海道苫小牧市の尚志館當摩道場は、2023年4月1日、世界自閉症啓発デーに関して体験イベント「LET’S GO TATAMI PARK 道場でインクルーシブ遊び」を開催、新聞にも取り上げられました。そこで尚志館當摩道場の水見智織先生にお話を伺いました。

司会:尚志館當摩道場について教えてください。

水見:北海道苫小牧市で、當摩道場の所有者である當摩勉先生に、2006年11月に柔道の指導を依頼されたのが始まりでした。その後、夫婦で活動を開始し、昨年7月には尚志館當摩道場のNPO法人を設立し、柔道の普及や活動の拡大を目指しています。

現在は市内や近郊の幼児から中学生までの30人が競技者として在籍しており、さらに幼児から中学生までの3人が柔道を体験しています。

司会:なぜ啓発イベントを実施しようとされたのですか。

水見:柔道を普及するためには、新しい形で新しい層にアプローチする必要があると考えました。柔道の魅力は、柔道衣を着て行う柔道だけではなく、柔道の動きを利用して体づくりができること、柔道場の心地良さ、体を動かすことの楽しさ、心身の成長につながることなど様々あります。より多くの人に柔道の素晴らしさを知ってもらうために、このようなイベントを開催しました。

司会:事前にどのような準備をしましたか?

水見:まずNPO法人の会員と話し合い、イベントの雰囲気や流れを決めたり、チラシを作ったりしました。

イベント名を「LET’S GO TATAMI PARK 道場でインクルーシブ遊び」とし、チラシに「走っても転がっても心地いい柔道畳の上で、一緒に遊びませんか?」と記載しましたが、とにかく気軽に道場に来ていただけるよう「一緒に遊ぼうよ!」という感じが伝わるように工夫しました。

次に、世界自閉症啓発デーでは各地の自閉症協会の方々が啓発イベントを行っています。そこで、苫小牧市の自閉症協会「あじさいの会」の皆様と連絡を取り、イベントの宣伝などを依頼したところ、協力をいただけることになりました。

次に、新聞社に取材を依頼したところ、イベントを紹介する記事を掲載いただきました。

苫小牧民報2023年3月28日付

道場の入り口にポスターを掲示し、SNSでも告知しました。

また、小学校の特別支援学級に勤める知人がいたのでサポートを要請し、道場生とイベントの予行練習を行い、改善点などを打ち合わせしました。

司会:発達障害と柔道指導の講習会について教えてください。

水見:北海道苫小牧市と札幌市の中間にある恵庭市で、judo3.0と協力して、発達が気になる子が輝く柔道の指導法ワークショップを開催しました。参加者は柔道の先生だけになるかなと思っていたところ、柔道の先生のほか、保護者、福祉施設にお勤めの方、小学校の特別支援学級の先生など、幅広く参加いただき、このテーマへの関心の高さに驚きました。そして、ワークショップを通じて、発達凸凹の子供への指導法を学ぶことができたほか、柔道がいかに発達凸凹の子供に良いのか、その素晴らしさを柔道関係者以外の人々にも伝える場にもなったことがよかったです。

司会:当日のイベントはどのような感じでしたか?

水見:7名の子供達とその保護者の方々が参加してくれました。こちらは指導者2名とサポート3名(特別支援教諭、道場生の保護者、看護系大学生)、子供の道場生5名が参加して、楽しく身体を動かしました。

当日は、じゃんけん遊び、手遊び、集合遊び、ランニング、コーディネーショントレーニング、進化じゃんけん、受身遊び、投げ込み遊びなどを行いましたが、プログラムへの参加を強制しないようにして、指導者の用意したグループの中に入って遊ぶ子供、保護者のそばで独自に遊ぶ子ども、指導者らのサポートを受けながら遊ぶ子どもなど、それぞれが自分のやりたい方法で参加できるようにしました。

遊びを中心としたプログラムを行ったことで、最初は緊張していた子どもたちもだんだんほぐれてきて、夢中になって身体を動かしていました。

また、指導者らと保護者と話し合って、発達に凸凹のあるお子さんをもつ思いなどを聞かせていただきました。

司会:参加者の感想はいかがでしたか。

水見:参加者にアンケートを書いていただいたのですが、以下はそのアンケートに記載された感想です。

  • 特性上、球技などの集団スポーツはあきらめており、武道なら体づくりできるかなと思っていたが、なかなか体験する機会がなかったため、良い体験ができた。
  • 習い事は障がいがあると断られることが多いため、今回のような遊びから参加できる催しはありがたい。
  • 広い場所で自由に動ける場所がとても参加しやすい。走ったり体を動かしたりする動作が楽しそうだった。理解のあるイベントにたくさん参加していきたい。
  • ゲームをやりながらの活動はとてもよかった。
  • 子どもが適度にいて、強制的ではないイベントだと参加しやすい。参加してよかった。
  • 今回のように最初に緊張をほぐして、次にやることの見通しをもたせながらやってもらえるとありがたい。


司会:このイベントを実施してどのような成果が得られましたか。

水見:発達凸凹の子供の柔道という柔道の新しい魅力を発信することができたこと、その結果、新しいつながりを得ることができました。

地元の新聞にイベント前に掲載いただきましたが、その後、実際のイベントの様子も記事にしてくださり、地域の人々に柔道の魅力と尚志館當摩道場の存在を伝えることができました。

苫小牧民報2023年4月5日付

その後、このイベントの参加者の1名が柔道クラスに、また親子1組が身体づくりクラスに参加しています。

さらに参加者以外の方からも、このイベントを知ったことで、保護者から「子供に柔道を体験させたい」という問い合わせがあったり、他のクラブの指導者から「うちではうまく指導できなかった子供がいる。尚志館當摩道場ならもっとうまく指導できると思った。その子に柔道を教えてほしい」という紹介があったり、行政のほうから地域住民が運動できる場として関心をもってもらったりしました。

ただ一番の成果としては、道場という同じ空間で、それぞれがそれぞれの楽しみ方で楽しい時間を共有できたこと、まさに道場でインクルーシブな遊びができたことです。それだけで大成功だと思っています。その後に柔道を始めるか否かは関係なく、何か壁を感じていたお母さんが、「このイベントでなんとなく壁が壊れたように感じた。次につながるきっかけになった」と思ってもらったら本当にうれしいです。

水見智織先生インタビュー

2023年世界自閉症啓発デーjudo3.0記念ライブ配信より抜粋
  • 1.なぜ柔道指導者が発達障害に関心を持ったのか?
  • 2.柔道体験会を実施した感想
  • 3発達障害に関する指導者講習を実施した感想

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